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第25章 Clayのもとへ還る心

　広げた左脚を抱えられ、下から腰を力強く突き上げられる。深く、奥へと。

「あぁっ、あぁっ……」

　昇りつめていく意識の中、さきほど港で見た漆黒の海が脳裏によみがえる。そこに吸いこまれるような錯覚を覚えたとき、涼子は思った。
　彼の香りで満たされたこの海でなら、溺れてもいいと。こんなふうに背を預け、後ろから優しく包みこまれ、彼の腕の中でその愛に溺れるのなら、それでもいいと。

「……っ、私、もう……あぁっ」
「はぁ……りょう、こ……」

　そう苦しげな声をあげる彼も、絶えずしぶきを上げる灼熱のとろみの中で溺れているのだろうか。彼のそれがぴたりとおさまるよう変形を遂げてきた快楽の沼は、柔軟に蠢いて彼を導いていく。

「くっ……」

　なにかをこらえるような声が耳元で聞こえたと思えば、不意に中にいる彼が奥深くのある場所をとらえた。

「あっ、だめ……っ、そこ……ああっ」

　腰をひねって後ろにいる彼に懇願のまなざしを送ると、まだ余裕がありそうな笑みを返される。喘ぎ声をあげ続ける開いたままの唇から力なく覗く舌に、彼の熱い舌が絡んだ。そうして彼の吐息に頭の中を溶かされ、なにも考えられなくなった時、涼子は再び彼を置いて一人昇天した。
　不随意に痙攣を続ける蜜壁の中で、彼はいまだ果てることなく猛々しさをその分身に宿している。涼子の心には、彼を欲する気持ちが募るばかりだった。