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琥珀色に染まるとき
第1章 雨に濡れたボディーガード

 そこで、現在活躍が期待されているのが、民間のボディーガードだ。

 しばしば警察SPと間違われるが、民間の警護員はあくまで警護会社の社員なのであって、世間一般の人々となんら変わりはない。装備できるのは特殊警棒や防弾坊刃ベストなど非殺傷性の護身具に限られているし、警察のように拳銃を携帯することなどできない。
 警護対象者にも違いがあり、警察SPが警護をおこなう相手は法律によって決められている――内閣総理大臣や国賓、その他警視庁長官が定める者――のに対し、民間警護員のおこなう警護は個人および法人との契約に基づくものであるため、公人から私人まで――警察SPの警護対象者指定外の要人、政治家、企業経営者、芸能人や著名人、ストーカー被害者など――その対象は極めて幅広い。

 しかしながら、総理大臣や国賓級の来日外国要人を警護する場合を除けば、警護体制はさほど変わらないのが実際のところだ。注意力や判断力、行動力を駆使し、忍耐をもって対象者を護衛する――その点では、両者に相違はないといえる。

 涼子は、二十歳のときに民間ボディーガードという存在を知り、現在勤務する警護会社の門をくぐった。それから十年間、ボディーガード業界に身を置いている。


 今日の予定は、午前中に前件の警護内容をまとめた報告書の作成、午後から新しい依頼人との打ち合わせだ。
 この初回打ち合わせでヒアリングした事柄をもとに三段階のリスク評価をし、その危険度に応じて警護計画を組む。それを依頼人に提示し、計画の再確認をしたのちに警護を開始する。これが基本的な流れである。

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