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琥珀色に染まるとき
第25章 Clayのもとへ還る心

 涼子がいつものように左隣に並んで歩こうとすると、西嶋は左手に提げていた買い物袋を右に持ち替える。

「景仁さん。それ……」
「ん?」
「もしかして、ワンピースと靴?」
「ああ」
「最初に着たブルーの?」
「うん。日本に店舗がないのが残念だな。あ、今はネット通販で買えるのか」
「そんな呑気なこと言って……高かったでしょ」
「たまにはいいだろ。お前は買わなすぎなんだよ」

 そんな彼の歩き方には迷いがなく、まるで目的があるようにも思える。

「今度はどこに行くの」
「うん、ちょっとな」
「なによ」
「んー」

 曖昧に返事をした彼が、あ、と声を出した。その視線を追うと、スコットランドの民族衣装を着た男性が一人、バグパイプを抱えて道の端に立っている。どうやらこれから演奏を始めるようだ。

「近くで見てみたいわ」
「ああ、行こう」

 そのとき、驚くほど大きな音が鳴り響き、周りの空気をがらりと変えた。通りを行き交う人々はその独特な音色に振り向き、立ち止まって見入る者もいる。

「わあ、すごい音。早く早く」

 彼の腕を掴んで引き寄せると、わかったよ、と言って優しく微笑み返してくれた。
 男性の近くまで歩み寄り、演奏の様子を見守る。オクターブ違いの低音が鳴り続け、そこに大音量のメロディー音が重なり、異国情緒漂う音色が聴覚を刺激する。

 男性の脇に抱えられた留気袋から、上に伸びる長さの異なる四本の管。そのうちの一本を口に咥えて袋に息を吹き込み、それぞれのパイプに空気を送り込んで音を発しているようだ。袋から下にも突き出た一本の管に両手を添え、縦笛を吹くような操作で演奏している。

「不思議な構造の楽器ね……」
「あの袋を常に膨らんだ状態に保ちながら吹かなきゃならないから、かなりの肺活量と体力を要するんだろう」

 西嶋も興味深げだ。しかし、彼はすぐに話題を変える。

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