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琥珀色に染まるとき
第5章 雨音に誘われて

 しかし、その後もストーカー行為がおさまることはなかった。それどころか悪質化した。いっこうにやまない嫌がらせに辟易し、禁止命令の要望や被害届の提出も考えたが、得体の知れない恐怖に身動きを封じられ、警察に行くことができなかった。
 途方に暮れているときに思い出したのは、自分を助けてくれた女性のことだった。その女性は名乗らなかったが、勤め先を教えてくれていた。その警護事務所の名前だけを頼りに会社を探し当て、堤小夜子は自分を救った恩人と再会を果たすこととなる――。


「まさか、本当にその子の警護をすることになるとはな」

 からになったグラスをテーブルの隅に寄せながら、城戸は言った。

「皮肉よね。あのときのお礼ではなくて、警護依頼が目的で再会するなんて」
「でも想定内だろ?」
「だから余計やるせないの」

 涼子の脳裏には、三週間前の出来事がよみがえる。
 月曜の朝、スーツ姿で街をうろつき、歓楽街から駅に向かう女をつけ回していた――あの男は仕事をしていないのだろうか。たとえしていたとしても、すでに辞めている可能性もある。

「捜査はされないのかしらね」
「親告罪だからな。被害者が望まきゃ警察は動けない」
「非親告罪化するわよ、近い将来」
「被害届が出されなくても、危険性が高ければ捜査できるってか」
「ええ。時代とともに犯罪の手口や特徴は変わる。法律も変わらないと追いつかないわ」
「まあ、そうだな。少なくとも四年前よりは変わってくれないと」
「四年前?」
「俺らが初めて一緒に担当した案件」
「……そうだったわね」
「忘れんなよ」
「忘れてないわ。ちゃんと覚えてる。……あの言葉も」
「え、どの言葉?」

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