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琥珀色に染まるとき
第5章 雨音に誘われて

「言っても無駄だとか言ってたよな。お父さんと仲悪いのかな。兄弟もいないっていうし」
「あの子、私と同じなのよ」

 一瞬だけ沈黙が流れたが、城戸はスムーズなシフトチェンジをしながら、そっか、と小さくこぼした。速度を上げた車は交差点を通過する。

「だからお前、熱くなってたのか。同じような家庭環境だから」
「…………」
「相変わらず連絡取ってねーの?」
「うん」
「そっか」
「心配無用だから」
「わかってますよ」

 城戸はそれ以上なにも言わず、BGMの音量を上げて運転に集中するふりをした。

 その後、事務所に戻った二人は明美の警護計画を立て、それを資料にまとめた。明美の同意を得たら契約書を交わし、警護料金が支払われれば、本格的な警護開始だ。
 細かな警護方法やストーカーの対処法について真剣に話し合ったのち、ビルを出ると外はすっかり暗くなっていた。

「もう七時半か。メシでも食いにいく?」
「帰って休まなくて大丈夫なの?」
「俺の体力なめんなよ」
「馬鹿ね……そんなの自慢にならないわよ」
「だって一緒に警護にあたることはあっても、一緒にまともなメシ食うなんてほとんどないじゃん。俺いまだにお前のプライベート知らないもん」

 なぜか嬉しそうに言われ、涼子は城戸が今の警護事務所に採用されてからの四年間を思い返した。
 ボディーガードの仕事は当然ながら依頼人のスケジュール優先のため、警護員の休憩、休日は完全に不定期である。長時間および長期間の身辺警護を必要とする依頼人の場合、数人の警護員が交代しながら休みを調整する。同じ案件を担当することの多い城戸とは、休日を一緒に過ごすことも、ゆっくり食事をともにすることも、ほぼ皆無に等しかった。

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