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琥珀色に染まるとき
第5章 雨音に誘われて

「あなたにはわからないわ。……わかるわけない」
「そうか」

 その冷たい返事とともに、肩を掴む手に力が込められた。触れられている部分がじわりと熱くなる。

「もう抵抗しないの?」
「……っ」

 これまで他人に激しい感情をあらわにすることなどほとんどなかったのに、西嶋には昨夜から見透かされてばかりいる。なぜ、この男にだけこんなにも感情的に、開放的になってしまうのだろうか。そんな自分にも、それを短時間で引き出してしまった西嶋にも、戸惑わずにはいられない。
 その手を剥がそうと身じろぎしてみたが思うように動かず、ただ力なく揺れるだけだった。これだけの酒の量で酔うはずはないし、本当に風邪でもひいたのか。それとも……。反抗的な意思とは裏腹に、身体は静かに追いつめられていく。そういう自分が悔しくてたまらない。

 ふと右肩を離れたその手が、濡れた髪に触れた。

「やっ……い、や……」
「なら、ふりはらえばいい」

 恐ろしいほど冷静な声に息を呑む。動けずにいると、その長い指は頬を撫で、唇まで下りてくる。優しく触れられた下唇がわずかに震えた。声を出す隙もなく、親指でそれをめくるように押し下げられる。

「いいのか」

 最後の問いかけに、あっ、と、かろうじて発したときにはもう遅かった。潤んだ視界の中に映りこんだのは、落ち着きはらった声とは対照的な、艶やかな色気に満ちた雄の目だった――。

「んっ……」

 身をかがめた彼の、大きくて温かい手に頬を包まれ、唇を奪われた。触れるだけの穏やかな口づけが、角度を変えながら徐々に深くなっていく。
 その硬い胸板を押して抵抗しようとするも、まったく力が入らない。思ったよりも鍛えられている身体を前にした今、自分は完全に無力なのだと思い知らされる。

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