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琥珀色に染まるとき
第6章 静寂とホットウイスキー

 涼子はその場に残って警察官に当時の状況を説明することになり、藤堂は被害者に話を聞きたいという別の警官とともにビルの中に入っていった。
 城戸が到着したのはその直後だ。間に合わなかったことを彼は悔いているようだったが、仕方のないことだ。電話をしてから今に至るまで、たった十五分しか経っていないのだから。

 それにしても、藤堂のプロ並みの強さと手際のよさには驚かされた。無駄な動きはいっさいなく、しかもあれは、“戦う”というより“護る”術を知っている動きだった。口調の荒さも佐伯の隣にいるときとは別人のようだった。
 とはいえ、彼がいなければどうなっていたかわからない。

 明美が逃げこんだのは西嶋の店だったのかもしれない、と涼子は思った。おそらく藤堂は佐伯同様そこの常連で、偶然そこで明美から事情を聞き、小林がここを通ると予測して現れたのだろう。
 もしも明美がこのビルに逃げこまなかったら、そしてそれが今夜でなければ、こうしてタイミングよく藤堂と居合わせることはなかっただろう。そうすればあの男を捕らえることはできずに、状況は悪化していたかもしれない。

 これまでボディーガードとして生きてきて、このような状況に陥るのは初めてだった。今さらになって背筋が凍る思いがする。
 奇妙に重なった偶然がプラスに働くこともあれば、マイナスに働くこともある。今回は運がよかっただけのことだ。

「……大丈夫か?」

 警察官との話を終えたとき、城戸が心配げに話しかけてきた。スーツの上襟が立ってしまっている。

「ずいぶん急いで来てくれたのね」

 苦笑しながらそれに手を伸ばすと、太い手に腕を掴まれた。

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