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琥珀色に染まるとき
第6章 静寂とホットウイスキー

 グラスにそっと口をつけ、温かいウイスキーを味わう。胸にじわりと熱が広がり、自然と感嘆の吐息が漏れた。
 カウンターの上に、もう一つ同じものが置かれた。西嶋が客席側に出てきて、右隣に腰かける。

「今夜はここで一緒に飲ませて」

 そう言って穏やかに微笑む姿に、つられて涼子も目尻を下げた。

 並んで座り、二人でバックバーを眺めながら、同じものを飲む、静かな時間。無理に話題を振ってこない西嶋に甘え、黙って流れる空気に身を任せる。心が静寂に包まれていくのがわかる。
 出会って一週間で、会話のない時間がこれほど心地よく思える相手はほかにいないだろう。彼に寄せる想いがそう感じさせるのか。ウイスキーのぬくもりに心をほぐされながら、涼子はぼんやりと考えた。

 だが、気持ちが静まっていくにつれ、さきほどまで隣に座っていた明美の姿が思い出された。

「私が護らなきゃいけないのに……」

 グラスの中で揺れるウイスキーを見つめながら自らを咎めると、隣で西嶋が微笑む気配がした。

「藤堂がついているから心配いらないよ。あいつは元ボディーガードだから」
「え?」
「涼子さんみたいに、人を護る仕事をしていたんだよ」
「……やっぱり」

 思わず呟くと、くすりと笑われる。

「気づいてたんだ」
「プロの戦い方をしていたので」
「さすがだな」
「いえ……」
「とにかく、あまり一人きりで抱えこまないで」

 低くこぼされた優しい声は、こう続けた。

「一つ気になったことがあるんだけど」
「なんですか?」
「明美さんの態度。ストーカー被害に遭っている人間にしては、毅然としすぎていたというか」
「……言われてみればそうかもしれませんが、平静を保つためにわざとそうしている可能性もあるかと」
「うん、たしかに一理あるね。しかしあれはちょっと違う気がするな」

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