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琥珀色に染まるとき
第6章 静寂とホットウイスキー

「……涼子。俺は」

 待って、と言うより先に切なげに吐かれたその声を、頭の中で反芻する余裕などなかった。

「んんっ」

 触れるだけの優しいキスから始まったあの日とは違い、いきなり激しく唇を塞がれた。息をするのもままならず、こぶしを彼の胸に押しつける。
 リップ音を立てて唇を離されたのは一瞬で、目を合わせる暇もなくまた重ねられる。濡れた舌に歯列の裏をなぞられ、身体がぞくりと震えた。

「は、ぁ……」

 口内にひそめた舌に到達した彼の厚い舌が、ねっとりと誘ってくる。遠慮がちに応えると、しなやかに絡め取られ、唇で吸われる。淫らな水音と甘い吐息が漏れる。
 腰を抱く彼の手が背中を優しく撫で上げた。その熱が背を這うたび甘い疼きが広がり、彼のシャツの胸元を握ってごまかす。

 ようやく離された唇からは、艶めいたため息がこぼれた。すがるように彼を見つめれば、ふっと優しい笑みを返される。

「おいで」

 甘い低音のあと、腰を引かれて椅子からするりと降ろされた。椅子に浅く腰かけている彼の両脚に挟まれ、スーツ越しに互いの大事な部分が合わさる。思わず身を引こうとするも、すぐ後ろにある椅子が邪魔をする。

「もっと近くにおいで」

 囁いて、彼はまた口角を上げた。
 その誘いに少し戸惑いながら、硬い胸板に置いている手をわき腹に這わせ、広い背中へ回す。二人の間に隔たりはなくなり、さらに密着度が増した。顔を上げると再び唇を塞がれる。

「ん……っ」

 耳や頬を撫でていた彼の右手が、首筋を滑り降りる。白いシャツの襟に阻まれたその指は、もどかしそうに第二ボタンを外した。あらわになった首をなぞられ、身体が震える。
 やまないキスの中で、その骨ばった指はさらに下のボタンを取り、一瞬にして胸元が空気に晒された。

「んっ……だ、め……」

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