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琥珀色に染まるとき
第7章 慈しめば涙して

「ごめん。苦しかったか」
身を引いて隙間を作ってやる。
少しだけ、と照れくさそうに返事をした涼子が、潤んだ瞳でひかえめに見上げてきた。
――俺は、この女を……。
出会ってまだ間もない女に心底魅せられている。その火照った頬を指でなぞりながら、やはりこれまでと同じなんかじゃない、と、景仁は先の考えを強く否定した。理由はただ一つ。涼子に対しては、こんなにも強い気持ちが伴っている。
黙って見下ろされていることに不安を覚えたのか、涼子の表情が曇り始めた。
ほんのりと色づいたその頬を両手で包み、額に優しく口づけ、まぶたにも触れるだけのキスを落とす。彼女はそれらにいちいち反応してまばたきをする。そんな些細な仕草さえ愛おしい。
小さな顎をすくい上げ、赤く潤んだ唇に自分のそれが触れる寸前で静止する。目の前にある深い瞳が戸惑いに揺れたとき、ゆっくりと唇を重ねた。
かすかな水音が二人の間を漂う。しっとりと、慈しむように。
「……ん、はぁ」
甘い吐息を漏らしながらも、涼子が後ずさりしようとする。その腰に手を回して引き戻し、シャツのボタンを器用に外していけば、細い手がそれを阻止しようと這い上がってきた。
「待っ、て」
煽るようなその声に、もう待てるものか、と心の中で返し、構わず下唇を優しく甘噛みしていく。だが、舌を差し入れ歯列をなぞったところで、ついに身体を押し返された。
「……シャワー、浴びさせて」
そう言って胸元を隠そうとする彼女の両手首を掴み、壁際に追いつめる。そのまま壁に押しつけて自由を奪った。
乱れたシャツの隙間から覗く、白く艶かしいふくらみと、黒いレースのブラシャーがなんとも色っぽい。
「ごめん。あとにしてくれ」
熱情に侵された声で告げると、目の前にある瞳が困惑と期待の色に染まった。

