第3回 官能小説コンテスト ノミネート作品
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ノミネート快楽の奴隷作者 廉野 入鹿SM・調教・陵辱大人しい仮面を被る彼女には被虐欲に満ち溢れた裏の顔がある。
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小林弘利先生
正直、前半は退屈でした。ヒロインが「駄目」というたびにげんなりしました。「駄目」と「いや」しか、いわないのかこの子は。
と。
物語も同じことの繰り返しをシチュエーションのバリエーションで見せようとしている感じで串団子な印象を拭えません。
が。後半になり、ヒロインが作家のために自ら身を引こうとする辺りから、俄然、面白く読めるようになりました。その辺りからエンディングまではよどみなくプロットが展開し、串団子でもなくなっていくので読んでいて楽しかったです。
官能小説家のリアルが描かれているのかどうかは他の審査員の方にお聞きしてもらいたいです。作家としてのリアルはあまり感じませんでしたが。 -
神田つばき先生
官能シーンのみについて言えば、個人的には非常に楽しめた作品だった。さまざまなシチュエーションでの行為を描き分けようという意欲も感じたし、「オナニーをするためにネカフェに入る」という最初の設定も好きである。欲望をつのらせている女性が、男性にぶつけるのではなく、他人の気配のある場所でかなえようとする―という設定はリアリティがある。
見つけてしまったのが「実は作者でした」というのはいいとして、後半で「実は死んでしまいました」「実は嘘でした」と重なると、絵空事になってしまい、せっかくの興奮が冷まされてしまう。男が自分のキャラクターに悩み、消そうとしているという伏線を2~3作っておけば、と残念。日々書き進めていく携帯小説で、そういった工夫は難しいと思うが、トライしてほしい。 -
大泉りか先生
とても楽しく読めました。小説家の実態や蘊蓄が語られているのも、興味深かったです。ただ、TLを意識するあまりに、少し現実味のないキャラになってしまっていたのが少し残念でした。同じ著者の方の『えっちなおもちゃ』がとてもユニークな作品だったことが印象深く、個人的な願望としては、TLではないオリジナルな作品を、また描いてくださったら嬉しいです。 -
山咲美花先生
個人的にかなりの高評価をさせて頂きました。
ネットカフェで出会い、そこから徐々に関係が深まって行く展開。また、高梨の心の動きが解りやすく、愛の形が見事に表現できていたと思います。
SM色があるものの、それが恋愛にほんの少し色がついただけのごっこ的な感じだったのがやや残念要素です。
個人的意見ですが出来れば最後まで挿入なしのままで終らせてほしかったですね。 -
松村由貴先生
冒頭、官能小説の王道を感じさせる感度の高かった好作品。僕が最高得点をつけたふたつのうちのひとつ。作中小説の人物に嫉妬する屈折のアイデアは心憎い。徐々に淫らになっていくヒロインの心情変化も自然。濡れ場、淫語選びにもセンスを感じる。ただし、後半、物語に追われて劣情が少なくなってしまう構成が残念。大胆な淫楽の世界へ向かうか、少し前で作品として完結できなかったか。 -
内藤みか先生
そつのない作品です。そこそこエッチでそこそこストーリー展開もあります。愉しんで読める官能描写もあります。ではあと何が必要なのでしょう。それは新しさだと思います。目新しさを見せてもらわないことには、今いるプロ作家とどこが違うのか、今後の伸びしろがどのくらいあるのかが、よくわからないのです。新人なのだということを生かして、いまだかつてなかったような設定の官能ストーリーを作る冒険心。これを持っていただきたいです。
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ノミネート貶女(おとしめ)作者 ZENZOSM・調教・陵辱イケメンな初カレに浮かれる莉桜(りお)が、身近な人達に裏切られ心身共に貶められてゆく
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小林弘利先生
女性をモノ扱いするだけの話で物語性、官能性ともに低い。
堕ちていく少女の痛ましさ、快楽に目覚め少女から女になっていく心の動きなどが描写されていたなら、少しは読めるものになったかも。 -
神田つばき先生
携帯小説らしい携帯小説、長期にわたり毎日楽しみに読んでいる読者のツボをよくわかっている。官能シーンも配分よく、読みやすく描いて飽きさせないし、目次の作り方もケータイ読者にとってはありがたい。前半と後半で舞台は変わるが、「貶められていく女」というテーマを貫き、ラストで軽く運命に報復して、長尺のストーリーをうまくまとめている。
個人的に横溝正史の小説に見るような因習というテーマが好きで、なぜか官能をそそられるので、後半は特に楽しめた。密やかな妖しい祭などのテーマは研究の価値もあり、和風のエキゾチシズムを感じさせてくれる。今後も読むことができたら非常に嬉しい。 -
大泉りか先生
読んだ瞬間にぱっとアダルトゲームが思い浮かびました。女としては、読み続けるのが酷な話でもありますが、しかし意外とさらっとしているというか、ネチネチとした陰険さが少ない。せっかくの凌辱なら、もっとえげつなく堕としてもいいのでは、と思いました。 -
山咲美花先生
官能らしさが良くでていたのではないでしょうか。
さらさらと流れるように読める文章の作り方は個人的には好きです。
どこにでもいそうな女子高生・莉桜が、男たちに陵辱されていくシーンはとても燃えました。
ぐっちゃぐっちゃにドロッドロッにさ・ら・に読む人が思わず身悶えるような、 の う こ う さが表現できていたらさらによかったです。
ストーリーも全体的にバランスが良く、出来の良い作品だと思いました。 -
松村由貴先生
スピード感はある。まさに電子向きというところか。しかし、その分、壮大なプロットに陥ってしまっている。劣情が喚起される暇がない。情交描写も軽くなってしまった。ただ、本来、著者は官能小説読みで、ワザと電子向きに書いた感もある。このスピード感が、トレンドを獲る可能性は否定できないが、もっとネットリと書かれたものを読んでみたい。 -
内藤みか先生
この作品、私はとても設定が斬新だと感じました。特にエンディング。登場人物ごとにエンディングが分かれる手法はゲーム的で、とても良かった! それにイケメン彼氏ができた女の子に嫉妬して周囲がいやがらせをして堕としていくというのも、心の中の黒い部分をうまく官能と絡ませようとしていて、そのチャレンジ精神がいいですね! でもどうせ堕とすならとことん堕としてほしかった。あとはストーリーをもっと盛ることだと思います。
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ノミネート思い出のアルバム作者 胡蝶蘭恋愛・純愛先輩…ずっとずっと……大好きです
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小林弘利先生
官能小説というよりエッチなラノベという感じ。
物語を語るというより全体的にあらすじを読まされている感じ。
そのあらすじ自体は悪くはないし、最後の写真が現像されるところもいい感じに泣ける場面になるだろうけれど。なにぶんにもヒロインの心情の揺れが描きこまれないので、自分勝手な思い込みだけで生きているように感じられてしまう。一つ一つの場面、心の動きを丁寧に追いかけたなら素敵な青春小説になった可能性もあるので残念。 -
神田つばき先生
「アルバム」というテーマが非常に良かった。デジカメが普及する前には、恋人同士が撮った写真にはいろいろな思いがこめられていた。キャラクターも自然で共感しやすい。
残念なのは、ラスト付近で文章が雑になり、急いで結末を作ったのかなという印象が残ったことである。最後に許し合う二人を言葉だけでなく、性行為をからめながら描くと感動が深くなったし、官能的にも満足できたと思う。 -
大泉りか先生
「官能」というよりも、「エッチ」という言葉が似合う作品ですね。TLというよりももう少し甘酸っぱい雰囲気で、若い層にはとても読みやすいのでは、と思います。ただ、官能小説としては、正直物足りない印象が否めまないのが、少し残念でした。 -
山咲美花先生
よくありそうな純愛物語という感じがしました。
官能小説を読んでいるというより、ほっこりと温かい気持ちで読むことができました。
登場人物が若いので、どうしてもいやらしさがさっぱり気味になってしまうのはいたし方ないのかなと思います。
なので官能描写がそこにもっと加われば、その物足りなさをカバーできて、さらに良い作品になったのではないかと思います。 -
松村由貴先生
何かおきるたびに親友が出てきて、ヒロインの心の闇をほぐすリズム感の出し方は上手い。が、物語が直線的、情交描写もバリエーションが不足気味。オチの想像もついてしまう。男女のすれ違いはもっと葛藤を伴う構成もとれたと思う。そこに劣情が生まれるはずだ。官能小説としてもう一歩。 -
内藤みか先生
大好きな先輩。先輩が大好きだという気持ちだけで一直線に突っ走った作品です。これはこれで恋する女性の一途な勢いがあってアリだと私は思うのですが、官能表現がとても少ないのがとても残念。官能小説というより恋愛小説のほうに近い作品だと思います。それと、浮気したヒロインを彼があっさり許してしまったけれど、彼にも葛藤があって当然ですし、そこはもう少しドラマがあったほうがいいと思いました。
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ノミネート偽りの身の上〜身代わりの姫君〜作者 長曽祢モヒートSF・ファンタジー・歴史昔々、逃げ出した姫の代わりに町娘が醜い王様と結婚することになりました。
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小林弘利先生
美女と野獣のアレンジ版としては面白くツイストも聞いているけれど、官能小説ではない。 -
神田つばき先生
構成もおもしろく、官能描写もふんだんにあり、もっと評価が高くなっていい作品だった。どこか絵本のような、おとぎ話のようなイメージが強く、もう少し緊張感があれば官能表現が活かされたはずだ。
冒頭だけでよいので、どこらへんの国のいつぐらいの時代、というデータがあると構成が活きた。まったくの架空でもいい。女流の歴史小説、例えば塩野七生『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』、有吉佐和子『和宮様御留』などはもちろん官能小説ではないし、性行為の表現はないが、読む者の身内に何とも言えない官能の波を起こす力があり、こんな設定の官能小説はないかといつも思っていた。
惜しくも選に漏れたが、おとぎ話ではなく官能小説として読ませる工夫をして、再び世に出してくれたら嬉しく思う。 -
大泉りか先生
ザ・TLといった趣の作品ですが、ゆえに、ちょっと既視感を感じました。こういう姫モノは女性がウットリできるデティールがとても大切だと思うのですが、そのあたりも、とてもきちんと描いてあり、見事です。TLでかつファンタジーゆえに読者を選んでしまう(=男性にはちょっと難しい)かもしれませんが、官能は自分が興奮できるものを描いてこそなので、ぜひ、ご自身のテンションのあがる作品を描き続けていただきたいと思います。 -
山咲美花先生
ディズニーを観ているようなストーリー展開もあってか、王子の姿がイメージしやすかったです。
ストーリー展開にはひろがりがあって、その部分はとても楽しく読ませていただきました。けど、後半では中だるみと感じてしまうところが何か所か見受けられて、そこが残念に思いました。
全体的には面白かったのですが、話のテンポが悪くなっている部分がなければもう少し評価が高かったと思います。 -
松村由貴先生
完全TLorBLとして読めてしまう。だとしても、女性が快楽に開花していく過程を、順序だててもう少し書き込むべきではないか。劣情とは少し遠い、すがすがしいファンタジーとなってしまっているところが残念。 -
内藤みか先生
美女と野獣的な物語に官能を入れようと試みた点は評価できます。オリジナリティーある擬音を使おうという工夫も見受けられます。しかし、官能表現がとても少ないのが残念です。1章ごとに1官能シーンがあってちょうどいいくらいだと私は思っているのです。また、どんな設定のどんな話なのかということを、最初のほうで読者にわかるように説明する必要はあるでしょう。ラストももうひとエッチ必要じゃないでしょうか。
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官能小説コンテスト
大人の恋愛小説コンテスト