第6回 官能小説コンテスト ノミネート作品
- ノミネート彼の世界は官能で出来ている。作者 ゆきめコメディー・ネタ百々子はハイスペックな瑛斗と出会うが…彼は官能の世界で生きるヤバい奴だった!
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小林弘利先生
官能小説というよりは、お仕事コメディといった印象。官能シーンには特別な文体のテクニックは感じられず、ラノベ風の平凡なヒロインに超絶イケメンが二人で好き好きと言ってくれるという「夢」物語。コメディとしては同じシチュエーションや台詞が繰り返され、物語のテンションも終盤になって初当場するキャラに頼って無理にクライマックス感を出そうとしている。もう少し脇の人物たちを描き込めば、軽いコメディとしては楽しめるかも、だが、いかんせん小説としての文章になっていないところが大いに気になる。それがいま風だ、というのであれば、こういう形もアリなのかもしれないが。大泉りか先生
官能小説業界を舞台にした作品ということで、親近感を持って読ませていただきました。コメディタッチなこともあり、わくわくドキドキしながら楽しく読めましたし、ラストも大団円で、元気のでる作品です。ひとつ欲をいえば登場人物の職業などを取材してリアリティを付け加えると、ぐっと良くなるように思います。内藤みか先生
こちらの登場人物は私好みのイケメンだったこともあり、かなりの高得点を付けました。
イケメンが官能小説家になるという設定は近頃増えていますが、その中でもキャラに強めのクセを入れているため、魅力的な人物像になっています。とはいえたとえ小説表現であっても一般的にタブー視されている幼女ネタをふんだんに盛り込む必要はあったでしょうあ。また、前半がコミカルでアップテンポであっただけに後半の濡れ場でもそのノリが続いてしまうのはもったいないです。これは官能小説のコンテストですから、照れずにしっかりと描写を書き込んでいただきたかったです。
- ノミネート舞い降りた天使作者 くらうさ不倫・禁断の恋目の前に舞い降りた天使は…
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小林弘利先生
これは官能小説と言うよりも恋愛小説という感じで、人妻と青年との恋を描いた一般小説として読んでしまいました。文体が携帯小説文体でなければ、そのまま普通の恋愛小説として成立するでしょうし、娘の生き生きとした描写や青年の甥っ子や姉の描写など、ちゃんと小説のサブキャラとして作品世界の中に存在していて好感が持てます。ヒロインの自己否定の強さがやや鼻につきますが、小説としての難点はそれくらいではないかと思います。ただ、官能小説として、という括りで見ると、官能の描き方が淡白でそこに割いているページ数も極端に少ないので、大きな減点ともなるでしょう。大泉りか先生
純愛ストーリーとして楽しめました。官能表現は薄いものの、主人公の心情と、ヒロインへの思いが、よく描かれています。せっかく沖縄の場面などがあるのだから、沖縄の街の風景などが描かれていると、もっと華やかな小説になったと思います。内藤みか先生
アイデアはいくつか良いと思える部分がありましたがこのお話は、なにしろ後味が読者の期待とは違う方向に行ってしまっている気がします。この主人公は、職場の同僚である子持ちの人妻を誘惑し、結果離婚させてしまうのですから。そこまでのことをするほどの深い愛情が彼には感じられないのです。読者の共感を得るためには、もう少し彼やその人妻の置かれた状況とその心理を解説する必要があると思います。
- ノミネートぬるぬるマッサージどうでしょう作者 大場十一病院・医者・女医・看護師心機一転、転職したマッサージ店はなんと、何でも有りの店だった
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小林弘利先生
文章そのものは読みやすくて、こなれている印象。けれど主人公に魅力が乏しく、物語というよりもハウ・ツー物という感じ。だから官能場面もエロよりも取説を読んでいるようで面白みに欠ける。つまりは官能小説となり得ていない。それは男の気持ちを描いているように見えて、最初の電車内での視姦からラストシーンに至るまで何ら成長も変化もしていない、ということからして、何も描いてはいないことが明らかとなる。この作品でも女性はエロ場面のためだけに都合よく現れ主人公のほうからアプローチを仕掛ける、ということがない。都合が良すぎてドラマが何も起こらない。大泉りか先生
しっかりと官能小説として成立している秀作だと思います。主人公キャラもわかりやすく、店を訪れる女性たちの描写もリアリティがあり、そそられました。主人公が精神的に成長する様子が、描かれていたら、もっとよかったと思うのですが、実はもう少し続く予定だったのでしょうか。内藤みか先生
男性目線の小説で、テンポも良く、無駄に長くなく、とても扇情的。面白く読めました。マッサージ業界の裏をノゾいたかのような詳細な解説も良かったです。個人的にはこの作品がイチ押しで、内藤みか賞があるとしたら差し上げていたことでしょう。ただしラスト付近で好みの女性にだけ尻尾を振ってしまうというのは女性的にはちょっとがっかり。もっとストイックに客ファーストな男となり、プロのマッサージ師としての成長を遂げていただきたかったなと、そこだけが心残りです。
- ノミネート身代わりの夜作者 笹原詩縞オフィス・OL・社長・秘書憧れの美人上司が好きなのは、ぼくの同僚
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小林弘利先生
官能場面の大盤振る舞い。サエない男にタイプの違う美女ふたり、という定番すぎる人物設定にシラノ・ド・ベルジュラック的な要素を加味した作品。読んでいて、新鮮さはまるで感じないし、主人公の性格も好きになれない。善人が性愛の中で野獣のように豹変に行く、というのはとても良いけれど、その《変わって行く自分》に対する戸惑いも怖れも描写されないのでモラルからインモラルへと境界線を超える瞬間のスリリングさが感じられないのが残念。
ストーリーを官能を中心にして展開させて行ってこその官能小説だと思うし、その意味では、これぞ官能小説と言える作品。だが、語られるストーリーが面白くないのが残念。大泉りか先生
王道中の王道の官能作品で、濡れ場の迫力は随一ではないでしょうか。ストーリーも身代わりものという変化球でとても楽しめました。官能小説のヒロインは、ドスケベな女性がやっぱりいいですね!内藤みか先生
大変昭和タッチで、官能表現も、その頃によく使われた言葉を多用されています。もちろん、レトロな味を出すためには、あえて今風の表現を使わずこのままでもよろしいのですが、ただ、こちらのサイトで発表する必然性はあるでしょうか。応募前にサイトを熟読され、微調整されると上位にいくことができたかもしれません。描写力はとても濃厚なのですが、女性たちが性的なことに従順すぎたのも、もう少しためらいや恥じらいがあったほうがいいように感じました。
- ノミネート青い残り火作者 RIN学園・学生・教師若さゆえの……
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小林弘利先生
これは青春小説で官能小説ではない。ドラマがあるのは西崎先生と兄との関係だけで、他は共感できない主人公と共感できないヒロインの学国生活が描かれるだけ、という印象、官能シーンでも女性ごとの変化や心情の違いは説明されている以上には語られていない。大泉りか先生
学生時代の焦れったさと青さを思い出して、ドキドキと甘酸っぱい読感を楽しめました。一馬がたんなるイケメンの王子様ではなく、ちゃんと生臭い欲望の持ち主として、また芽衣も不器用ながら、ずるい面もある人物に描かれていて、双方、息の通っているキャラクターだと思いました。文章はこなれていて、とても読みやすいものの、官能小説と呼ぶには、濡れ場があっさりしすぎているところが、少し残念です。内藤みか先生
この作品、一番評価したのはストーリー展開の部分です。なかなか入り組んだ複雑な話に挑戦された部分はとても素晴らしいです。けれど、ご自身のアイデアを消化できないまま話が進んでしまったため、時間軸に混乱が起きたり、話が途中でわかりづらくなってしまったところは惜しいところです。主人公が本当は誰が好きなのかも見えにくかったです。何度か読み返して話がかみ合わない部分に気づいて修正する時間があれば、話もまとまったかもしれません。
- ノミネート郁美の真実 〜妻を閉じ込めた魂の檻〜作者 SESM・調教・陵辱私の妻「郁美」。 私は郁美の幼少期から現在までの真実を知ることとなる。
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小林弘利先生
小説の体裁を取っていない。手記という文学形態もあるから、そういう目で読んではみても、語り手が妻のことを書いているだけで、そこに自分の中に同居している精神的なSとMの部分に対する認識や、その目醒めにどう向き合っていくのかという部分への考察などが極端なほど欠けているし妻を寝取られている男の気持ちも描かれていない。そういう己れの中にある嫉妬やアブノーマルな心とどう接して行くのかが物語(手記)の中心に置かれるべき.だと思うが、いたってモラルに即した結末へ向うだけだった。多目的トイレを身障者用トイレと書き続けるセンスもいただけない。大泉りか先生
調教報告ブログを覗き見している感覚で面白かったです。wの多用などが少し気になりました。ウェブ上でのやり取りとしてリアリティはありますし、男性陣の下衆さを出すことに成功していますが、少しノリが軽い印象がもったいないです。会話が発言のひとつを「必要か」「無駄ではないか」と精査すると、よりギュッと詰まった作品になるかもしれません。主人公の妻への思いもあっさりしていて、せっかくの<寝取られ>の設定が生かされていないのも、もったいなく思いました。内藤みか先生
リベンジポルノという今風の題材がとても新しさがあり、良いと思います。特に冒頭は二重丸です。しかし主人公の心理描写が薄いのがとてももったいないところ。妻が他の男に犯されていると知った時、普通ならば嫉妬に苦しむものではないでしょうか。それなのに犯人の男とコラボに至ってしまえるでしょうか。主人公にSっ気があったにしても、感情の揺れがもっと欲しいのです。オチも、あっさり離婚してしまうのではなく、妻を支配し続けることを誓う、それが俺の間、というような感じのほうが読者は嬉しいかもしれません。
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