第4回 官能小説コンテスト ノミネート作品
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優秀賞君がため(教師と教育実習生)作者 千咲学園・学生・教師教師しのちゃんは逃げ、実習生里見くんは追いかけ、追い詰める。そんな恋。
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小林弘利先生
小説として面白く読みましたが、官能描写が出てくるまでに物語の半分が過ぎていて、かつ官能シーンが始まってからはいきなり他の作品の性描写のコピペのような印象になりました。 -
神田つばき先生
「教師と実習生」という設定は罪悪感あるドラマティックな設定だと思うのですが、人目を忍ぶ関係の苦しさや葛藤がなくて、マンガのようにスラスラっと読んでしまいました。
冒頭で小夜が男の浮気に気づいて別れるシーン、生徒の誰かが「淫乱」とつぶやきそれに対して小夜が毅然と言い返すシーン……には展開を期待させるスリルがあったのですが、それが回収されずにふんわりした話になってしまい、残念です。 -
大泉りか先生
書き口が軽快でテンポよく読みやすかったです。「嫌よ嫌よ」から始まるのは女性好みですよね! ヒロインの性格がちょっと複雑でちょっぴり上目線のところが、感情移入するのが難しかったです。こういったティーンズラブ寄りの作品の場合、ヒロインが等身大で、かつ、応援したくなるようなキャラクターであることがキモだと思うのですが……。ヒロインに処女性は必要ないと思いますが、ただ、ちょっとイージーな印象も否めず、だったらもう少し、弾けたキャラにすると爽快感がより出たかもしれません。 -
深谷陽先生
デティールのしっかりした設定でキャラクターに存在感があるものの、ヒロインは巻き込まれ型で主体的行動に乏しく里見君の計画にはスリルがなく着々とした「成功報告」のようでした。
自慢話かノロケ話を詳細に聞かされている感じでしょうか。
それでいてヒロインを愛しているとされる同性の友人の気持ちや里見君の性的技巧の元など、もっと描写してほしい食い足りない部分もありました。 -
片桐由摩先生
文体が軽妙で、キャラや関係性も分かりやすく最初から最後までスムーズに読めました。個人的にはノミネート作品の中で一番読みやすく、多くの人に受け入れられそうな文体だと思います。その読みやすさ故に、エピソードにもう一捻り欲しいという欲張りな評価になってしまうのですが……。物語を盛り上げるものとして「障害」が必須ですが、その部分にあと一押し!という印象です。余りにも強烈過ぎる障害だと読む方も辛くなってしまいますが、元彼や親友、色々と動かせそうな魅力あるキャラが配置されているので、彼等を上手く使ってキャラの魅力が引き立つような波乱を起こし、二人の愛情のカタルシスを描いて欲しかったと思います。
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ノミネート真珠浪漫物語作者 雪 碧子館・お嬢様・お坊っちゃま・メイド・執事大正初期、数奇な運命に翻弄される美しき伯爵令嬢姉妹。二人の愛と官能の物語が今、動き出す…。
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小林弘利先生
百合系ラノベとしては「こんな感じ」なのだろうな、という印象です。登場人物たちがどれも生身の肉体を持っているよう二次元住人のように思えました。令嬢と歌姫の美しい姉妹、という設定そのものが二次元っぽさを感じさせ、その乙女たちの絡みを見る男たちの反応がみんな同じで、そこからドラマチックな展開がはじまったりもしないので、同じことを繰り返しているだけのように感じました。 -
神田つばき先生
たまたま韓国映画『お嬢さん』を見た直後に読んだので、期待して読みました。梨央が最初から綾香を好きで惹かれていく過程がないこと、生き別れの姉に対して複雑な感情がいっさいないこと、が残念ですが、宝塚歌劇や1970年代の少女漫画の雰囲気があり、楽しめました。
長屋育ちの綾香がテーブルマナーや英語を知っているところなどは面白く読めました。その一方で時代考証が甘く、大正時代には日本になかったであろうものが平気で出てきたりします。谷崎潤一郎のように服装や建築、飲食物などの風俗を書きこんで、大正という時代の面白さをもっと伝えてほしいところです。 -
大泉りか先生
書き手が設定した世界観の描写が、とにかく微に入り細に入り延々と、といった感じで、もしかしてセックスそのものよりも、そういった装置や舞台を描くほうがお好きなのかな、と思いました。豪華絢爛な世界でくりひろげられる美しい姉妹のレズ物。読者は選ぶかもしれないですが、ご自身の「好き」を追及しているところが好感です。ヒロインふたりのキャラ作りが上手で、頭の中で想像しながら読み進めることが出来ました。 -
深谷陽先生
設定や時代考証に難があり古い少女漫画のようなチープさを感じて序盤では入りにくく感じましたが、ドレスや髪型の描写からはなんとかヒロイン二人の美しさを描きだそう、という熱意が伝わってきました。
官能シーンも、ヒロインの清楚であり淫靡な様が良く描けていたと思います。
やや姉妹が神格化され過ぎの感もありましたが。 -
片桐由摩先生
このお話を書かれた雪さんは、服にとてもこだわりがある方と想像します。ヒロイン達が身に纏っているランジェリーやドレスがどれも華麗に描写され、私もそういったものが大好きですので、読みながら色々と思い浮かべて楽しませていただきました。百合ものとしては、メイン・サブともにもう少しキャラの内面まで踏み込んで描写して欲しかったと思います。個人的な好みもあると思いますが、登場する男性がみんなあっさり引き下がってしまうのが惜しいと感じました。百合ものでの男性キャラの動かし方は注意を払うべきところですが、上手く描けばヒロイン二人の魅力が更に増す大事なポイントでもあります。今後は是非そういった部分まで挑んでいただきたいです。
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ノミネート潮騒作者 まみその他昭和初期、田舎の小さな漁村。親の言いつけで望まぬ結婚をした菊乃。結婚相手は一癖も二癖もある男で…
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小林弘利先生
戦前戦後を生き抜いた女性の一代記ですが、これも一般小説に近く官能シーンが物語の核にも推進力にもなっていない印象。全体的に描写が淡泊で「あらすじ」を読んでいる印象です。 -
神田つばき先生
正一郎という男尊女卑で横暴な男が、一途で率直な菊乃の存在によって心を開き、変わっていく様子がよく描かれています。さらにその時間経過に絡まってくる戦時中の描写―人々の、大っぴらには言えない戦争に対する複雑な思い、家族で静かに受け止めるしかなかった絶望や悼みなど、時代の感情を醸し出していて見事です。
時代考証という点では一位であったと思います。あえてノンフィクションであることを示さずに、小説として描ききってしまうという手もありました。『ある視点賞』のような賞を授けたい作品です。 -
大泉りか先生
NHK朝のドラマ小説のようで、ヒロインが「どうなってしまうのだろう……」とドキドキしながら読み進めました。予想外のストーリー展開の連続にも関わらず、妙な説得力があることに感心しながら読み進めていったのですが、作者の方の祖父母をモデルにした話だということを最後に知り、納得しました。やはり事実の持つ力は強い!ちょっと残念だったのは、濡れ場がやや少ないこと。昔の日本らしい、土着的なエロスが描かれていれば、官能小説として、より優れた作品になったと思いますし、そこのところが読みたかったです。 -
深谷陽先生
最初に「祖母がモデル」と明記されたことで本編を官能的な目で見づらくなったような。後書きで「実は…」と明かされた方が興味深く思えたかもしれません。
内容は読みやすく、面白い部分もありますが本当に知り合いの家族の昔話を聞いているようでフィクションとしての「あざとさ」が弱い気がしました。 -
片桐由摩先生
祖父母がモデル、というちょっと変わった切り口で、フィクションとノンフィクションの狭間の物語を堪能させていただきました。紹介文にもあるようにまさに「一人の女の一生」が描かれており「こういった時代のリアル」という点ではとても価値ある作品だと感じます。ただ難しいことに、その魅力が別視点では障害となってしまった作品でもありました。最初に「祖父母がモデル」と前置きされてしまうと、それで官能的な気分に浸るのが申し訳ないという声が多く、私もそう感じてしまいました。また、伝え聞いたものをベースに書いているせいでしょうか、客観的になり過ぎていてキャラが少し遠く感じます。文章そのものはとても丁寧に書かれてると思いますので、是非また新しい題材で物語を書き上げてみて欲しいです。
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ノミネートおにいちゃん、おしえて。作者 Clarice恋愛・純愛大好きな幼なじみが教えてくれた、イケないコト。
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小林弘利先生
さながらクリームレモンで、H系のラノベなら珍しくもない作品だろうと想像します。男にとって都合がいいだけの物語は、官能とは相容れないのではないか、と思われますし、セックスの最中に第三者が入ってくれば誤魔化すことはほぼ不可能です。匂いがあり、独特の気配がそこに生じているからです。また、親から娘にはもう会うなと言われたから会わない、というのでは「官能小説」とはならないと思います。禁じられたからこそ思いが募る。それが官能のはずだからです。 -
神田つばき先生
ハッピーな明るい話のほうが、既製品的なライトな出来あがりになりがちなのに、この作品は二人のためらいや昂揚が伝わってきて、手作りのお菓子のように味わって読むことができました。大人になると忘れてしまうであろう、少年少女ならではの性に対する思いを丁寧に描いた貴重な作品だと思いました。
いかがわしさ、こころの屈折や後ろ暗さはなく、少年少女もの=ロリータものではないことを示して評価できます。こういう真っ直ぐな性の物語というのはもっと書かれるべきだと思いました。 -
大泉りか先生
長さ的にちょうどいいですね。これくらいの長さが続けて一気に読む場合の限界だと思います(ただし、このコンテストは連載作品から応募するものなので、長くなってしまうのは当然のことだとも思うのですが……)。濡れ場がふんだんで、ヒロインの少女の繊細な心の動きと一途な気持ちがしっかりと描かれていると思います。少女をヒロインにしたのもネットならではの強み。後半、父親にバレて以降のストーリーはややベタですが、それでもハッピーエンドにおさまってくれるおかげで読後感もいいです。書き手の方の放尿へのこだわりも感じられますし、そこが作品のスパイスになっているとも思います。 -
深谷陽先生
女の子の造形が可愛らしくタイトルからの期待を裏切らない導入で前半は楽しく読めたのですが途中で失速しました。
二人の秘密の夜以降、おにいちゃんとの距離に主人公は悩みますが、それならばおにいちゃん視点で描かれたシーンなど交えず徹底して主人公主観の構成の方が、後半もスリリングに楽しめた気がします。
また終盤明かされる主人公の父親からおにいちゃんへの「あんまりじゃないか」の言葉。これは彼のみならず全読者に冷水を浴びせるのではないでしょうか。中学生に欲情してる場合じゃなかったと。 -
片桐由摩先生
ちょっとエッチなラノベ、という感じでとても可愛らしい作品でした。文章は拙さが残りますが、私が個人的に一番評価したのは「おもらし」の部分です。最初にも書きましたが、官能という部分にやや物足りなさが残るノミネート作の中で、この作品が一番書き手の嗜好のようなものが反映されていると感じました。それが万人受けするかどうかは別として、そういった熱量こそ私が見たいものの一つであり、また「官能」には必要なものだと考えています。食べかけの蜜柑から最後に柑橘系のトワレ、という小物の使い方も初恋らしくて個人的には好印象です。
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ノミネート痴漢脳小説2 ~ガールズバンドに男子の僕が入っちゃいました~作者 ききまろハーレム・逆ハーレム誰にも負けない『痴漢脳』を持つ地味男子、簗瀬太一がガールズバンドのお世話をすることになり…
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小林弘利先生
ベストセラー『僕は友達が少ない』に影響されまくりのラノベ感が素直と言えば素直で、童貞の妄想というだけの性描写の数々に「また同じことのリピートか」と正直うんざりでした。男目線でだけ語られる性描写はかくもワンパターンな表現にしかならないのか、という発見はありましたが。 -
神田つばき先生
設定はよく考えたのだろうに、女の子のカタログのようでどの少女にも官能をそそられませんでした。「痴漢脳」というアイディアは斬新なのに、人物を描けていないために主人公にも感情移入できなかったのです。
原因は「3-2 痴漢達の共有美少女」で女の子の感情等がいっさい書かれていないためだと思います。そのせいで「高二で痴漢をライフワークにしていた僕」と「今の僕」も別の話のようになってしまいました。 -
大泉りか先生
前回に引き続き、痴漢脳小説の第二弾ですね!フレッシュで爽やかな筆致がこの作家さんの武器だと思うのですが、今回も、痴漢という本来は許されない卑劣な行為なのに、さっぱり気持ちよく読めてしまいました。ヒロインたちのキャラもラノベ的ではあるものの、立っていて、それぞれ魅力的に思いました。ただ、やっぱり本番がないのがちょっと物足りなかったです。 -
深谷陽先生
創作者としては倫理観で作品の好悪を決めるのは避けたいものの「痴漢」と銘打たれて果たして生理的に受け付けられものか、読み始めは不安でしたが意外にも前半はいっそ爽やかに楽しく読んでしまいました。
ガールズバンドというハーレム性の設定で四人の女の子がそれぞれ魅力的。
あくまで本番に至らない官能シーンも面白かったです。
ただ、主人公がかつての自分の痴漢行為の罪を自覚して以降、それでいて行動上さしたる反省も自戒も見えないあたりから少し違和感を感じてしまいました。
主人公がメンバーに加わるラストも少々安易に思われ添えられた歌詞もややベタでむしろ蛇足に感じました。 -
片桐由摩先生
軽快な文章で、物語を書き慣れている感を受けました。男のロマンと言うべきハーレムもので、どのヒロインも魅力的で可愛かったと思います。解散という「期限」が前もって提示されていて、物語の構成としても分かりやすかったです。欲を言わせてもらうなら、せっかくのハーレムものなので、そういった方向のエピソードがもう少し入っていると更に女の子達のキャラが立ったのではないでしょうか。
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