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第13章 最高の快楽

ﾊﾟﾘﾝｯ



後を追おうとした守矢の耳に、窓ガラスの割れる音が入ってくる



「ｸｯ…!」



先に消火と避難の指示を出さなければ。



「屋敷内の全員に告ぐ！ 西側、真梨子様の部屋より火災発生！」



守矢が大声で駆け回っている間に、綺梨は執務室へと急いだ



ｷｬｳｰﾝ



だが、聞き覚えのあるその鳴き声に彼女の足が止まる



“ケン……？”



私を呼んでる

綺梨は踵を返すと、階段を駆け下りる

思ったよりも火の回りが早く、煙を吸わないようにしながらやっと庭に辿り着いた



「ケン！」

「ゥワン！」



飼い主の姿を見て安心して走り寄ろうとするケン



ｶﾞｼｬｯ



しかしその体を鎖が繋ぎ止めていた



「ケン、ごめんね！ 今外すからね！」



“火がくる前に気付いて良かった……！”



鎖を解き終わった綺梨だが、ケンはその場を動こうとしない



「何してるの？ 早く逃げるのよ」



促され僅かに歩きだすも、二、三歩行ったところでまた振り返る

一緒に来ないのかと不安そうな瞳だ



「私は麗夜の処に行かないと。だから、ね？」

「ｸｩﾝ…」



見つめられ、胸が切なくなる