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終わらない夢
第2章 現の夢(うつつのゆめ)
 彼女と会ったのは、半年前の会社の飲み会の時だった。

 日付がかわる頃、帰宅する数人の同僚と繁華街を駅に向かって歩く。
 呼び込みの店員をかわし、ふっとスーツの内ポケットに手を当てる。携帯がない。

 最後に入った店で、妻の麻友子にメールをしてそのまま、テーブルの上に置いてしまった。

「飯森…すまない。携帯を店に忘れたみたいだから、取りに行ってくる。」

「はい、はーい。仲村さん、ではお休みなさい。」

 同僚達に挨拶をして、店に戻る。

 受付の店員に話をすると、忘れ物として携帯が届いていた。それを受け取り、改めて店を出る。

 駅に向かって、来た道を急ぐ。

 多分、このままだと終電ギリギリかな。

 時計をチラッと見ると、視界の隅に違和感を感じる。足を止め人が行き交う中、そこに視線を向ける。

 一人の女性が、酔っぱらいに腕を掴まれ路地に引き込まれそうになっている。

 恐怖からか、顔がひきつり声を出せないでいる。

 相手は酔っぱらい。こちらは、以外と酒も抜けている。男一人ならどうにでもなるな…と、算段し助けにはいった。

「…やめないか?!今、警察呼んだからな。」

 酔っぱらいの側に行き、女性を引き寄せる。

 なんて、細い腕だろう。

 麻友子も細身の方だが、この女性の腕は更に細い。

 長い髪が揺れ、白い肌を艶やかに見せる。化粧をしているが、あまりにも幼い顔にやけに濃く見える。

「ちっ。うるせーよ、バーカ。」

 酔っぱらいは、フラフラしながらも警察と言う単語に反応し、舌打ちしながら雑踏に逃げ込んでいった。

 女性の腕を離し、足元に落ちたバッグを拾う。

 散乱した中身をあらかた拾い、バッグの中に入れて女性に渡す。

「大丈夫ですか?怪我はありませんか?」

 ゆっくりと手が差し出され、震える手でバッグを受けとる。その細い指は細かく震えている。

「…ありがとうございました。」

 小さな声がした。

「どうしますか?警察に行きますか?」

「いっ、いえっ。行きません。」

 うつむいていた顔が上がる。

 その顔を見た瞬間、胸が締め付ける。

 なんで。

 その、声を瞳を唇を自分だけのものにしたい。

 なんで、そんな…。

 そんな、思いが沸き起こったのだろう。一度、溢れたこの思いは、止められない。

 この瞬間から、現の夢が始まった。
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