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1000文字で綴る男と女の物語
第6章 『テイスティング』
女がアイマスクをした男に言った。
「フランスワインよ。銘柄は秘密。でも同じ銘柄で、収穫した年が違うだけ。その差はちょうど10年。1986年と1996年。これがどちらか当ててみて」
「いいよ」
男がうなずいた。
女が持っていたボトルをゆっくりと傾ける。
赤い液体が、女の脚の間の濃い繁みにぽたぽたと落ちる。
男が女の太ももを押し開き、その中央に顔を寄せる。
鼻先を繁みの近づける。
一度首をかしげる。
「粗野だな……上品さがない……もう少し垂らしてみて……」
今度は糸のように液体が落ちた。
繁みの下からあふれ出て、女の入り組んだひだに入り込み、粘膜をつたい、落ちる。
男が、ひだの上の合わさり目の小さな肉の突起に唇を尖らせて押し当てた。
空気と一緒に吸う。
「あっ……」
「角張っている……自己主張が強いな……」
今度は舌を少しだけ出し、そこを擦る。
「あんっ……」
舌を大きく出し、液体が染みた粘膜を舐め上げる。
「ああんっ……」
「やせてはいない……がっちりとしている……」
舌を尖らせ粘膜の奥に差し込み、入り込んだ液体をかき出しながら、呑み込む。
「いやんっ……」
「腰が強い……でも、余韻がない……すっと消えていく……若い、若いな。1996年物だ……」
女が微笑んだ。
「正解」
男がアイマスクを外しながら言った。
「今度は、荒削りの若いのが好みなのか? 昨日、あの男としただろう」
女が舌を大きく出し、ボトルの口を舐め上げた。
「正解」


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