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山田雪江のフロント日記
第4章 エピソード 1 怒りのデリヘル
怒鳴りあった後、カンカンとヒールの音を響かせながら
エレベーターではなく階段で、女は降りてきた。

フロントで、目の前を通り過ぎる女を見送った雪江は、
またか、と肩をすくめた。

少ししてフロントにやって来た千代田は、

「あの娘、帰ったの?なにがあったのかしらね?」

ちょっとオネエの気を漂わせる千代田は雪江の後ろから
入り口の自動ドアに目をやった。

「あの娘ね、しょっちゅう来るデリヘルよ。今日はもう2回目よ!」

「あら、そう!」

「あの娘、ジジイが嫌いみたい。若い男の子だとすっごい楽しそうに
 愛想振りまいてんのにさ、この前も客ともめてたけど、
 やっぱ相手は中年のジジイだったわね」

いくら商売とはいえ、嫌なものは嫌!ってことなのかしら・・
でも、何事もなく済んでるからいいけど・・
今は危ない事もあるからね、とため息をつきながら
雪江は3階の廊下が映るモニターを見上げた。



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