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山田雪江のフロント日記
第7章 エピソード 4 止めときゃいいのに

3階につき、部屋に向かう男の後ろで
しぶとく女はごねていた。

その時、男女の入る部屋の斜め横の部屋で清掃をしていたスタッフが
やり取りの一部始終を窺っていたらしい。

そのスタッフが話したのはこんな話だ。



・・なんか女が甲高い声でごちゃごちゃなんか言ってるの。
  なにかしら?って思ってドアの隙間から見ようとしたんだけど
  ちょうど見えない位置だったのよね。
  
  だからとにかく耳をそばだてたの。
  そうしたらさ・・


女は廊下に響くのもお構いなしで男に言葉を投げかけた。
その間、男の声は全く聞こえなかった。

「え~まだ私、心が決まらないから!今日はここで帰ります!
 え、ほんとにほんとに!お願いですから、帰らせてください!」

そう何度も繰り返し聞えてきた後、
ドアのカギがかかる音が聞こえた。




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