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影に抱かれて
第11章 回りだす歯車

夜更け……

リュヌはベッドの中で、夫人と話した内容、そして昨夜見てしまったことを思い返していた。

昨夜は一睡もしていないのに、妙に目が冴えてしまう。

「ああっ……」と小さくため息をついて布団をかぶり直すリュヌの耳に、鍵を掛けていない部屋の大窓が開かれる音が聞こえて来た。

ジュールだ……

「昔みたいに……鍵を開けておいてくれたんだね。お利口だ……」

そう。

小さい頃から、リュヌは部屋の大窓に鍵を掛けたことは無かった。夜中にリュヌが忍び込んできて、お話をしてくれることがあったから……

今夜もある期待を込めて、大窓の鍵は開けたままだった。

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