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第13章 再生

仕事のない日、リュヌは伯爵との想い出のあるあの薔薇園に立つ。今は荒れ果てているが、主であるジュールに願い出て、この場所の再建に取り組んでいるのだ。

何もかもが順調に回り出したフランクール家の中で、足りないのはこの薔薇園だけだとリュヌは思った。

伯爵が愛した薔薇園を元通りにし、そして愛息子のジュールが立派に独り立ちした姿と共に天国から見守って欲しい……

それはリュヌなりの伯爵への敬愛の気持ちだった。

もちろん、二人の関係もうまくいっていた。

夜ごとジュールはリュヌを抱く。

そしてその度、リュヌは神から目を逸らしていた。神もまた、こんな自分からは目を逸らしているに違いない……と。

リュヌはジュールを選んだのだ。

聖書は閉じられたまま。そしてあのロザリオもジュールの手に渡ったままだった。