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影に抱かれて
第14章 滅びる運命

窓の外の雨はますます激しく、その天気のせいで外はどんよりと薄暗くなっている。

不穏な空気の中、リュヌが出て行った部屋で夫人とジュールは二人きりで対峙することとなった。

「大切な話って何なのかしら……縁談ならもう取り消せなくてよ。だって……」

「僕はもう貴女など母親とは思わない」

「えっ……?」

「僕にはもう母親はいないと言ったんです」

母親に対するこれ以上ないむごい言葉に、夫人は頬が引きつるのを感じた。

「な、何を言っているの! 血を分けた肉親はもう貴方と私だけなのに……」

すれ違いはあったにせよ、もちろんジュールのことを愛していたし、正真正銘お腹を痛めて産んだ可愛い我が子だ。出産後は身体を壊し、またジュールも病気がちだったために毎日本当に生きた心地がしなかった。

それなのに……その子は今、むごい言葉を吐き、さも可笑しそうに肩を揺らして笑っている。

「くっくっく……それは違う。僕には血を分けた肉親がもう一人いますよね」

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