この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
影に抱かれて
第14章 滅びる運命

女がいなくなった今も、この塔は近付きたくない場所だった。しかし、今はそんなことを気にする余裕もなかった。

じっとしていたら気が狂ってしまいそうだ。

「やれやれ、嫉妬とは恐ろしいな……伯爵夫人にはもう見えない。嫉妬は墓のように残酷だ……とはよく言ったものだ」

聖書の言葉を口にしながら、冷たい石の階段をジュールは悠々と上る。しかしジュールの心にはこの時も神は宿っていなかった。

ジュールが最後の階段を上り切ったその時、一足先に部屋に入った夫人の口から叫びが漏れる。

「どこ……あの女はどこなの?!」

そこには何もなかった。
人などいない。

あるのは薄汚れた祭壇のようなものだけだ。そこに、開け放たれたままの木戸から雨が吹き込んでいる。

雨風に晒された木製の母子像は、もう朽ち果てようとしていた……

「どうかな……屋敷の方に行ったのかな? 僕の部屋に……」

屋敷と聞いて、木戸にしがみつくようにして外を見る夫人を見下ろすジュールの目は冷めきっていた。

/183ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ