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電動人形
第30章 残されたもの
ボクは自分の降車駅も近づいていることを知る。

そして、ボクは会社に休みのメールを入れた。
最後まで見届けなければ、そんな思いだった。

周りの男たちもざわめきだつ。

皆、先程の男のように中途半端に終わりたくないようだ。

そんな中、40代の男は冷静に言う。

「可愛いい鳴き声を聴かせてよ。」


次は人形を覆う大きなマスクに手をかけた。

後釜に入った男は、もれなく助手を務め反対側の耳にかかったマスクを剥いだ。

ああっ…

またしても人形の主に驚かされた。

マスクの下に包帯で巻かれた人形の口元が現れた。

そして、歪な形、
包帯はぐっしょりと濡れていた。

「ああ、面倒だな。」

40代の男は呟き、包帯を引っ張って切っていく。

人形の口元が歪だったのは、舌を割りばしで挟まれて、口にかませてあったからだった。

色が変わりかけている舌を男は舌で擽る。

人形は心地良さそうに舌を絡ませていた。
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