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第5章 妹の元カレ×元カノの兄

ネクタイをしていない着崩した格好だけど
俺と同じブラックのスーツに、上は白のYシャツを着たビジネスモード。


「悪いな、帰国早々呼び出して。
今日が出勤初日だったんだろ？」

「………」

「時差ボケ治った？ 荷物片付いた？」


そう立て続けに聞きながら、自分の２杯目と一緒に陽向のビールを注文。

ウッドデッキと合わせた無垢材のテーブルの真向かいに、そいつは立つと
鋭い目で俺を見下ろしてから、あからさまにでかい溜息を漏らした。


「……治ってねぇし片付いてもねぇよ」

「家どうしてんの？ 実家？」

「マンスリー。25階のメゾネット2LDK。会社から徒歩5分」

「へー、さすが外資。手当しっかりしてんのな…」

「つーかなんだよこの店。いつの間にこんなの出来たわけ」


カバンを背もたれに置いて、イスを引きながら陽向が周りを見渡す。

テーブルの上にはキャンドルが置かれて、そこそこいい雰囲気を出しているから
周りの客もカップルや女性組ばかりだ。