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第5章 妹の元カレ×元カノの兄

「ははっ、嘘嘘。冗談だって」


顔を曇らせた陽向を見ながら笑い飛ばして、何本目かの煙草を手繰り寄せる。


「嫁のいる今がなんだかんだで１番幸せなんだよ、俺。
だけど昔話をすると、ふいに戻りたくなるだろ？」

「………」

「だからついそんな希望を…」

「彰」


結構酔っ払ってるから、ノロケを言っちまったけど
表情を硬くしたまま陽向が俺を呼んだから、ライターをテーブルに置いた。



「……悪かった。
去年のお前の結婚式、行けなくて」

「………！」

「招待状、まだ手元に残してあるんだ。
７月だったから……ちょうど１年前だよな」

「………」

「ごめん。本当に」



背筋を伸ばして、視線を揺れるキャンドルに伏せて

陽向が俺に向かって軽く頭を下げた。



……ほんと、律儀で真面目な奴。