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ドラスティックな恋をして
第11章 潮時・・
「もしもし」

・・もしもし、依子?ずいぶん遅いけど、今どこだい?・・

「え?」

・・夕方こっちに帰ってきたんだよ。帰りは何時頃になるの?駅まで迎えに行こうか・・

心臓が凍っていくようだった。
まさか悟志がこっちに帰ってくるなんて、考えてもみなかった。
だけど、自分の家なんだからいつ帰ってきたって、黙って帰ってきたって、
おかしい事は何もない。

よりによって初めて昌宏と朝まで過ごす、そんな日に夫が帰ってくるなんて。
頭の中も、目の前の景色も、そして昌宏の顔も・・
すべてが歪んで揺れて見える。

失敗だ・・
依子は電話を塞いで大きく息を吐いた。

「仁美の家で飲んでて・・泊まっていけって言われてのんびりしてたの・・
 すぐに帰るわ、ごめんなさい・・」

電話を切ると同時に体が震えだした。
涙も頬を伝った。
そんな依子を昌宏はそっと抱きしめた。
何も言わずに、抱きしめた。

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