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ドラスティックな恋をして
第11章 潮時・・
距離ができれば徐々に熱は冷めていく。
会えない、いや会わない状況を作ることが一番の対処法になる。
ただ、それを言い出せるかどうか、わずかな不安もあった。
が、悟志の一言で決心がついた。

多分悟志は、自分がこちらへ帰ってきた方がいいのだと考えている。
自分の楽しみよりも妻の心配をする、そういう夫だ。
だからこそ、依子は自分から先に言い出した。

この家庭を守ってきてくれた、夫の楽しみを奪わないように。

「まだ・・移住、とまでは決心がつかないけど・・
 まずは暮らしてみなきゃわからないじゃない?とりあえず2~3ヶ月、
 生活してみる。その間こっちは圭輔に見に来させればいいわよ」

「そっか・・うん、依子がそうしてくれるなら。
 でも・・どうしたんだい?急に。なんかあったのか?」

聞かれて、一瞬涙がこみ上げた。
その涙を、夜空を見上げるふりをして押し戻した。

「思い立ったが吉日、ってやつよ」

悟志の手を握りながら、あらためて気づいた。
ほっそりとした指だった。
私と、そして圭輔を守り続けてきたこの手こそ、
自分が取るべき手なのだ。

「やっぱり私・・細い指が好きだわ」

「なんだよ?なんか相当酔ってるみたいだな?意味不明な事言って」

そう、ただの酔っぱらいよ、とつないだ手を振りながら、
静まりかえった住宅街に息の合った二つの靴音を響かせた。




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