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ドラスティックな恋をして
第10章 他人の目に映る自分・・


まだ薄明るい夕暮れの空の下、家に帰りつくと
庭の花壇に咲く花やハーブに出迎えられた。
前に来た時には土しか見えなかった花壇に、可憐なラベンダーが揺れていた。

「あなたが植えたの?」

かがみこんで香りを嗅ぐ。
横からローズマリーも香りを漂わせていた。

「いつまでも土だけじゃつまらないだろ?キミが全然来ないからさ」

背中越しに聞こえた夫の声に、寂しさがにじんでいるのはよくわかった。
一瞬、眉間に皺が寄った。
申し訳ない、と強く目を閉じた。

「ごめんなさい・・ちょっと内職が立て込んでてね。
 こんな私でも頼りにされるのよ」

小さな嘘を、吐いた。

「へえ、一人になったら仕事にも目覚めちゃったのかい?
 でもわかるよ、時間を持て余すこともしだいに苦痛になってくるからね」

なんの疑いも持たず、同情さえしてくれる夫に対して心は苦しくなってきた。
だが今すぐ昌宏との関係を断ち切ろうとは思えない。

・・大丈夫、ほんの少し夢を見ているだけだから・・

ひと時の夢だと自分に言い聞かせ、ゆっくりと立ち上がり紺色の空を見上げた。




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