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ドラスティックな恋をして
第10章 他人の目に映る自分・・
鍋を火にかけて火加減を見てから、美智子は依子が勧めた缶ビールを飲み、
そしてため息をついた。

「あら、美智子さんて行動力ありそうに見えたから・・
 てっきり一人で好きな事したいわってタイプかと思ったわ」

大抵の妻たちには羨ましがられる。
お互い元気で別々のところで生活しているなんて、
憧れであり理想の生活だなんて言われたりする。

「一人は気楽でいいでしょ、なんてしょっちゅう言われるわよ。
 だから美智子さんにも同じような事言われるかと思ったけど?」

「う~ん・・気楽もいいけど、やっぱりにぎやかなのがいいわ。
 うちはまだ娘も居座ってるでしょう、だから面倒は多いけど安心感もあって。
 それになんていっても主人は今はアルバイト生活だからね」

苦労も楽しみも分かち合うのが家族だしね、と美智子は笑って見せた。

・・家族か・・

依子は下を向いた。
家族をほっておいて禁断の泥沼に身を沈めているくせに、
気楽を羨ましがられることに慣れているなどと胸を張るなんて・・

美智子と話していて、自分のしている事の重さが
昨日よりも増しているように感じた。


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