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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第8章 淫らなアフターワーク


──私は、冷めた感情を抱かずにはいられない。


「いいから帰りなさい」


私の顔に瞬間的に浮かんでいた皮肉の笑みは、すぐに消える。

作業再開と同時のひと言で、テーブルの上へ視線を戻しながら私は葉川くんを突き返した。


カッターナイフを持ち直す。

スチレンボードという5㎜厚の白い板を、等高線に沿って切っていく。

一発で切ろうとすると綺麗に切れないから、初めは浅く──そして二回目で完全に切り離す。







「──…」


「……っ。(まだ帰らない気ね)」





面白くもない作業行程をじっと見つめる瞳。

葉川くんは動かない。

あの日、けっして車から降りようとしなかった我が儘をここでも発動しているのだ。



“ どうしたらいいのよこれ…っ ”



このまま一緒にいても険悪になるだけなのに。

どうすれば帰るのよ。

礼を言えば良かったの?

わざわざ戻ってきてくれてありがとう、その気持ちだけ頂くわ、って

ひと言でも礼をはさめば、大人しく帰るの?



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