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第17章 家族ほど面倒なものはありません

「……！」


「先輩の部屋に二人きりで…しかもこれほど近くにいるのに、手を出さないほど我慢強くありません」



伸ばしていた脚を戻して、葉川くんが身体を寄せてくる。

私は自分の手で視界をふさいでいるけれど、声が近くなったからそうなんだろうと思う。



「先輩から被さってきたのには驚かされましたが、そろそろ…逃げないと、僕の仕返しが始まりますよ？」


「……」


「このまま貴女を……抱いてしまう」


「…っ」



片方の肩に葉川くんの手が触れた。

掴まれた──とは言えない、優しい力で添えられているだけ。



とことん君は策士よね。

初めはもっと自分勝手で強引だったくせに──。



まさか私が、こんな男に



「いいんですか？ このまま抵抗しないなら、僕は先輩との約束を──」


「…ｯ──」


「約束をやぶって、最後まで」


「もう遅いの」


「…？」



こんな男に、オトされるなんて





「──…もう惚れてる」


「‥‥」