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第19章 優先席は彼の席

「──…そしてわかったのは、先輩がフラれる原因は、先輩自身じゃなくて」

「…っ…？」

「たんに今までの男達が、先輩と不釣り合いな自分に気付き…身を引いた結果にすぎないと」


堂々とした喋り方。

焦っていた私と相対して落ち着いている。年下のくせに。


「だから決めたんです。僕は身を引いてなんてやらないと」

「葉川くん…！」

「先輩に近付いたのは興味半分でした。…なのに、いつの間にか執着していた。他の男に対して無意識に嫉妬している僕がいたんです」


口調は丁寧なのに、自信に満ちたこの表情は何なのだろう。

やっぱり彼は、アブナイ男…。

出会った時に抱いたこのイメージは今だって変わらない。


「何なのよ…っ…急にそんな話」

「先輩を捕まえておくためにも、打ち明けるべきかと思いました」


ただ変わったとすれば

葉川くんがさらけ出してくれるこの言葉を…私が信じられるようになったこと。