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すべての生き物に愛を求めて
第6章 人妻
「わかりました。」


領主と一緒に入ってきたせいもあり、まあまあ注目されながら辺りを見渡す。
本当は隅の方で目立たないようにしようと思っていたのですが、どうせ見られているなら手っ取り早く真ん中からやってしまいましょう。

部屋の中心まで歩き、手を少しだけ広げて目を閉じる。


「〔神よ……彼等を癒したまえ〕」


水面に一滴の水滴を落としたときのような、穏やかな波紋が広がるように治療魔法が広がってゆく。

すると、あちらこちらから声が聞こえてきた。


「あ!歩ける!」

「あれ?手が動くわ?」

「お母ちゃん!もう、痛くないよ!」

「目がっ目が見える!」


部屋の隅にまで魔法が行き渡ったのを確認して魔力の放出を止める。
鼻から息を大きく吸い込んで、口からフーッと空気を出し、ゆっくりと目を開けた。

シーン…と静まりかえっていると思ったら、ハッと気付いたクロードさんがいきなり走ってきて、私の手をとり、リリィ共々猛ダッシュでプレハブを飛び出して人気のいない路地へ入り込んだ。

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