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蕩けるようなキスをして
第2章 櫻葉陸
本日二度目の『カーヤ』。
我慢の限界。
華夜子は歩みを止め、身体を回転させる。
「私はあんたの、おねーさんじゃないし!それになんなの、カーヤって!」
廊下を往来する学生達が、振り返ってこちらを見てくる。
でも、今の彼女にとって、そんな事はどうでも良かった。
とにかく、なんでか知らないけど、この纏わりついてくる厄介な存在をどうにか引き離したかった。
「だって、おねーさんじゃん」
しかし陸は、彼女の迫力に物怖じもせず、しれっと言った。
「ね。俺の一個上の、薬学部三年、御堂(みどう)華夜子さん」
陸は誘うような目線を、華夜子に送った。
華夜子の頬が、僅かに紅潮する。
魅入られないように、顔を彼から逸らし、華夜子は呟く。
「…乃愛(のあ)に訊いたの」
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