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蕩けるようなキスをして
第58章 真相
華夜子の双眸から溢れる涙に、陸の目頭もまた熱くなる。
「今日は絶対思わない。…でもね、ほんの時々は…ほんの少しだけ、心の中で思い出すのは許して?」
「決まってる。いつだって、思い出していいに決まってる」
愛おしくて。
愛おしくて。
もう、仕方がなかった。
流れる涙を何度も指先で拭い。
唇で掬い。
頭を撫で。
頬を撫で。
ようやく華夜子が落ち着いた頃。
陸は彼女の剥き出しの肩が、寒々としているのに気付く。
「大丈夫?」
気遣えば、華夜子は正直に答えてくる。
「実はさっきからちょっと、寒い」
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