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蕩けるようなキスをして
第60章 T
ひとり悶々としていると、いつの間にか布団に潜り込み、隣りに横たわっていた陸に、身体を抱き締められる。
そして、耳朶に向け、囁かれる。
「おはよ、華夜-」
その甘過ぎる声に。
その甘過ぎる笑みに。
かあっと。
一瞬で、頬が染まる。
して欲しいと言っておきながら、してもらったらしてもらったで、心臓がどきどきして仕方がない。
返事が出来ずにいると、そんな華夜子にもう一度微笑み、陸は言った。
「ほんの三十分前までは、こうやってずっと、華夜の寝顔を見ていたんだけどな」
「…なの?」
「うん。目覚めてから暫く、ずーっと、華夜の事見てた。すげー長い睫だなとか。すげー寝顔も可愛いなとか。ずーっと、見惚れてた。こうして華夜の事見てるのって、世界中で俺だけなんだなって、優越感に浸りまくってた」
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