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蕩けるようなキスをして
第62章 理由
「うん。それに、昨日…もう今日なのかな?華夜、もの凄く頑張ってくれたから。そのお礼ってか、ご褒美でもないけど…まあ、身体もまだ疲れてるだろうし-」
だから、任せて?-陸はもう一度、笑った風だった。
『頑張った』なんて、華夜子の恥ずかしさを倍増させたが、もうこの際だし、大人しくやってもらう事にする。
「…ほんとに楽しみにしてたの」
「うん?」
「イヴのデート。新しいパスタ屋さんも、ほんとに行きたかったの」
「うん」
ドライヤーの音が響くだけの室内に、ふたりの声が交差する。
「せめて前の日までに行きたかったんだけど、どうしても難しくって」
陸に髪を梳かれる気持ち良さに酔いながら、華夜子は語り出す。
「指輪をどうしたらいいか沢山考えて、考えて、海に流しに行こうかと思ってた。…でも、それよりも一番いい方法を思い付いたのは、イヴの三日前だった。…お墓に、入れてもらえないかなって」
「…」
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