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蕩けるようなキスをして
第13章 送信
画面を眺め、微かな吐息をひとつ。
スマホから顔を上げ-右側からなんとなく視線を感じた彼は、そちらを見遣る。
明らかに大きく見開かれた、目。
「…華夜子」
陸は、呟いた。
少し離れた場所に佇む彼女へ、次にかける言葉が見付からない。
ただ、数日振りに逢った彼女を、逃さぬように、見詰める事以外は。
言いたい事や訊きたい事はあったけれど、それは憚(はばか)れた。
だとすると、他に当たり障りのない話題を探す事が難しかった。
お互いがお互いを知らな過ぎた。
名前と学年、後は-…。
なんにも知らないのに、何を。
なんにも知らないから、色々と。
なんにも知らないから、沢山を。
教えて欲しい事は、いっぱい、あるのに。
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