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蕩けるようなキスをして
第70章 覚悟と約束
その続きが聞きたいのに。
私はもどかしさを覚えながら-でも、自分からは言い出せなかった。
勿論そんな事にはならないように、細心の注意は払うつもりだけど-数秒の前置きをし、高階先生はようやく言を紡いだ。
「僕は普通の学生と違うよ。年だってこんなに離れているし、立場がまるで違う。その事で御堂さんを沢山傷付け、沢山淋しい思いをさせて、最後には後悔させるかもしれない-」
-それでも?
先生の呟きに、私は顔を上げた。
繋がった視線のまま、真摯に問われた。
「それでも…僕でいいのかな?」
濡れた睫で瞬きする事も忘れ、私は高階先生に釘付けになる。
「僕は…御堂さんを好きになってもいいのかな?」
ただ見詰め続けるしかない私に、高階先生は僅かに口元を歪めた。
「普通の恋人同士にはなれたとしても…それはきっともっと先の話で。そこに辿り着ければいいけれど…それよりも先に、深い哀しみの底に堕ちてしまうかもしれない」
-それでも?
先生の重ねた問いに、私は微かに頷いた。
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