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蕩けるようなキスをして
第73章 RtoK
人前-特に男子の前で、化粧なんて絶対無理だけど。
仕上げの口紅を塗るぐらいならいいかな-そう思い、借りてた洗面台から移動したところだった。
部屋に戻ればもう支度は済んだのかと、ちらりと確認はされたが、すぐにスマホの画面に目線は戻っていた。
ポーチを漁り出した自分を見て、まだ時間がかかる-そう、判断したようだった。
だからこっちも、すっかり安心してたのに-不覚にも目撃されてしまうとは。
ファンデーションのケースに付属された鏡を見つつ、素早くピンクの口紅を塗る。
このままアパートにいるとからかいが延長されそうなので、早く大学に向かいたい-そう判断しての事だった。
テーブルの上に置かれたケースからティッシュを一枚頂戴し、唇に宛がおうとしたところを、抱き締められた。
そして、そのまま口付けられる。
「…口紅、ついてるけど」
華夜子は目の前の彼に告げた。
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