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蕩けるようなキスをして
第20章 指輪の跡
私、まだ何も言ってないのに。
勝手に誤解して。
勝手に誤解したまま。
私、まだ、返事をしてない。
私、行かないなんて、返事を、していない-。
「陸…!」
華夜子は、彼の背に向け、名を呼んだ。
陸の背中が止まる。
けれど-振り向いてはくれない。
「陸!」
もう一回、呼ぶ。
一度目よりも大きな声で。
少しだけこちらを振り返る素振りをした。
もう、遅い?-華夜子は、陸の後ろ姿に問い掛ける。
「もう遅いかな、陸-」
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