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蕩けるようなキスをして
第23章 繋いだ手
正門に向けて歩き出した自分に、逆に彼が向かって来た。
無言でひたすら佇んでいただけの陸に、突如として近付いて来られ、華夜子は驚きと戸惑いに怯んでしまう。
何-言うより早く、陸に左手を取られた。
何?-今度こそ声を上げようとしたのに、それより早く、繋いだ手を強引に引っ張られた。
「ちょっと…!」
抗議したかったのに、彼の力強い手に引かれ、そのまま正門へと向かう。
「どこに行くの?」
その後ろ姿に問い掛けるけれど、返事はない。
「ねえ?」
その真っ白なTシャツの背中に尋ねるけれど、やっぱり答えてくれない。
「黙ってないで教えてよ、陸。私、まだ、さっきの返事だってもらってないのに…!」
無視され続け、いい加減泣き出しそうになった、その時。
その長い脚はようやく歩みを止めた。
ゆっくりと、振り向く、その顔。
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