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蕩けるようなキスをして
第24章 誰のことも
手を繋いだままの彼女が呟いた。
その声に、陸は即座に反応する。
思わず、右隣りの彼女を見てしまう。
「私を好き…?誰の事も好きじゃないのに?誰の事も好きになれないのに?」
自分自身が一番、驚いてる-彼女が困惑するのは当たり前だった。
ただ、無言で微笑むしか。
「私の事は好き…?冗談?からかってる?」
嘘や誤魔化しの一切効かない、瞳。
真実しか求めていない、その瞳。
陸を真っ直ぐに射抜き。
心までもを激しく、揺さぶってくる。
冗談なんかじゃ-乾いた喉から、掠れた声が出る。
「からかってなんか」
乾いた笑いが漏れる。
冗談ならまだ良かった。
冗談ならまだ救われた。
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