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蕩けるようなキスをして
第24章 誰のことも
信じてくんないかな、たった一度でいいから…。
「行くよ。行きたいって、言ったじゃん…?」
華夜子は囁くように、彼に伝える。
泣きたくなるって、きっと、こんな時-陸は、嬉しさに、静かに唇を噛んだ。
「…最後にホテルに連れ込まるかもしれない」
嬉しい-そこで止めておけばいいのに、余計な一言を足さずにはいられない。
しかし、彼女の方が一枚上手(うわて)だった。
「また膝蹴り食らうよ。今度は手加減しないよ」
絡ませた彼女の指に力が籠る。
陸は小さく肩を震わせた。
「こえーな」
「なら、余計な事はしない事」
「したくてもそれじゃあ出来ないじゃん」
大声で笑い、陸は華夜子の繋いだ手を引き、駅まであと少しの距離を歩き出す。
陸-そんな彼の横顔を、華夜子は呼ぶ。
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