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蕩けるようなキスをして
第29章 嫉妬
陸の顔が、正面から華夜子を見据えた。
「したいと思うのは華夜だけだ。俺が欲しいのは、華夜だけだ」
「したい!?」
裏返る、声。
待ち合わせ中の周りの人々の注目を浴びるくらいの、音量。
慌てて口元を押さえるけど、ばっちり聞こえてしまった後のようだった。
熱を持ってしまった頬は、簡単には鎮まりそうになかった。
「華夜って、ほんっと声でけーよなぁ!」
仰け反って爆笑する陸に、華夜子は叫ぶ。
「も-、ほんと、うるさい!そういう自分のが、いっつも笑い声がでか過ぎなのよっ」
「華夜といると退屈しないよな、マジで」
肩を小刻みに震わす陸に、腹が立って仕方がない。
「し、したいとか、したくないとか、そんなのどーでもいいからっ。話を終わらせなさいよっ。早く続きっ」
恥ずかしさも手伝い、華夜子は怒鳴りつける。
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