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蕩けるようなキスをして
第29章 嫉妬
再度、ほんの少し伸ばした指先が、彼女に触れた。
次は、また、離さないといけない。
引いた自らの手に、何かが、触れた。
陸は、恐る恐る、自分の右手を見た。
離したはずの彼女の指が、何故か自分に触れている。
彼女を見る。
-私も。
華夜子は、囁く。
「…私も。楽しみで三十分以上も前に、駅前に着いてた」
「…!」
そういえば-陸は思う。
あと一時間、声を掛けてきたあの女子を、どうやってあしらっていればいいのか-途方に暮れていた。
腕を絡められ、ほとほと参って、辺りを見回した。
そこでまさかの、彼女を見付けた。
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