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蕩けるようなキスをして
第33章 抱擁
「ええっ!」
叫んだ後から、後悔する。
両手で口を塞いだが、なんの意味も成さなかった。
そんな彼女の姿に、陸はまたしても気落ちし、諭すように語り始めた。
あのさあ-多少の苛立ちも含まれた声で、陸は華夜子のすぐ目の間に立ちはだかる。
「なんにもしないって言ったじゃん。実際、今だってなんもしてないじゃん?それを、いちいち、そう反応されるとさあ-」
どんだけ信じてもらえてないんだろう、自分-かなり、落ち込んでしまう。
「玄関の鍵だって開けたままにしてあるし、部屋に入ってから、指一本だって触れてない。これ以上俺、どうしたらいいの、華夜?」
「…」
「…帰る?」
「え?」
「だって、このままいたって、お互い楽しくなんかないしだろうし」
彼にしては珍しく、突き放すような、口調。
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