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蕩けるようなキスをして
第5章 卵焼き
「行かないの?」
問われ、魅入っていた自分を恥じ入るように、華夜子の頬は一気に熱くなる。
「俺といつまでもいると、また何かを言われるよ?」
彼の半分冗談、半分本気のそれに、早く建物の中に、授業に行かなきゃ-そう、思うのに。
少し前まで、あんなに早くここからいなくなりたい-そう、確かに願っていたのに。
華夜子は浮かしかけた腰を再び、ベンチに戻した。
「…おねーさん?」
陸は頬杖を解いて、不思議そうに彼女を見た。
なんでここに残ろうと決めたのか-自分が一番良く分からない。
だから、彼にも説明なんか、出来るはずもない。
自分自身が一番戸惑っているのだから。
「…サボり」
「え?」
「勉強する、そんな気分じゃないから。午後一の講義は休む」
華夜子の呟きに、陸は瞬間固まり、ついで、嬉しそうに目を、細めた。





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