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蕩けるようなキスをして
第37章 欲しいもの
それを特別見る訳もなく。
かと言って、チャンネルを変える訳でもなく。
家にいる時の習慣として、とりあえずテレビを点けた事に満足し、陸はコンビニの袋からペットボトルを取り出す。
蓋を開け、お茶を一口含んだ陸は、自分の左側に遠慮がちに座る彼女を見る。
「でも、やっぱ、警戒はしてるみたいだけど?」
からかう陸の口調に、華夜子は恥ずかしくなる。
「…ごめんなさい」
「別に怒ってる訳じゃない。まあ、一人暮らしの男の部屋に行くって事は、真面な神経の女だったら警戒して当然だろ。それか、最初から、行かない。何かあってからじゃ遅いからな」
笑いを含んだ茶色の双眸が、華夜子を掴まえる。
見詰められ、華夜子は小さく息を呑む。
「誓って、なんもしねーよ」
華夜子から視線を逸らさずに。
陸は、呟く。
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