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蕩けるようなキスをして
第43章 訊きたいこと
「だから言ってないって」
思ってもいなかった事を繰り返され。
彼に思わせてしまうかのような言い方を、知らずしていたかもしれない自分に、不安になる。
「俺の秘かなコンプレックスが、ひねくれてそう捉えてしまうのかもな」
冷い秋風が陸の静かな呟きを乗せ、華夜子の耳へ届ける。
華夜子は、整った彼の横顔を見詰めた。
「華夜と同じ年ならどんなに良かったか。華夜に初めて逢った時からずっと、思ってる。そしたらもっと早くに…大学に入学した後、知り合いぐらいには簡単になれて。友達にもなれて。頑張って、頑張って、ふたりでどこかに行くような関係にもなれて。…一年生の頃に、俺が華夜を誘っていたら、華夜は俺とデートしてくれた?俺を、今と同じように、好きになってくれていた?…恋人同士に、とっくになれていた?」
不意に、陸がこちらを見た。
偽りの答えなど欲しくない、真摯な双眸で。
華夜子に、問い掛けてくる。
今更、嘘などで誤魔化そうだなんて思わない。
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